山田瑞穗 Dr.Yamada Mizuho

国会図書館

 国会図書館長 殿

 国会図書館は、国内の出版物を網羅的に収集し、わが国でどんなものが出版されているかを、日本国内はもとより世界中に知らせ、……出版された資料を直接利用でき、……永く後世に残し伝えていく役割を持っており、国内で刊行されるすべての出版物を納入してもらうことを求めています。 そして、国会図書館法(昭23、2、9法律第5号)第25条で、発行の日から30日以内に、最良版の完全なもの一部を納入しなければならないと定め、法律で義務づけているとしています。

 しかし、本の外箱などの外装は外して、本体のみを保存することになっているのだそうです。 完全なものを納入せねばならないが、整理が面倒な部分は棄ててしまうというのでしょうか。 本を購入した個人が外箱を棄ててしまうのは自由でしょうし、輸送の際に本が傷むのを防ぐための外箱もあると思われますが、外箱も立派な出版物の一部であり、装丁を芸術として、その製作に精根を傾けている人達もあるのです。

 いやしくも出版されたすべての資料を国内、国外に紹介し、永久に保存することを目的とし、しかも完全なものの納入を義務づけている国の施設であるならば、出版物とは何かを理解しない、このような取り決めは許されない筈で、直ちに改められるべきかと思います。
山田瑞穗